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貯蔵糖質の代謝
On 12月 25, 2021 by adminAbstract
糖質はすべての生物にとって主要なエネルギー源であり、他の役割を担っている。 植物に含まれる炭水化物のほぼ30%は、各細胞の細胞壁生合成に利用される。 また、草食化を抑止するための防御化学物質(二次代謝産物)の合成にも炭素骨格を流用する必要がある。 そのためには、炭水化物を供給源から吸収源へ継続的に流す必要がある。 独立栄養植物では、CO2が緑色部分に固定され、単糖が生産される。 夜間、余剰の光合成産物は葉緑体に一時的なデンプンとして貯蔵され、可溶性に変換された後、植物の他の部分に輸送される(図9.1)。 糖質は最も反応性の低い可溶型で、主にスクロースとして供給源(合成場所)から吸収源(利用場所)へ輸送されるが、スクロース以外の糖質(ラフィノース、バーバスコース、スタキオースなど)も輸送される。 デンプンは糖質の主な貯蔵形態である。 しかし、サトウキビやビートなどではスクロースが貯蔵されている例もある。 植物によっては、フルクタンが炭水化物の貯蔵形態であるものもある。 イネ科の植物では、デンプンは穀物に貯蔵される。 炭水化物の代謝は他の生物でも同様であるが、植物にはある種の特徴があり、それが特徴となっている。 それは、独立栄養であることと、プラスティドという特殊な細胞小器官が存在することである。 糖質の代謝には、プラスティドのほかに、サイトゾルと液胞が関与している(図9.2)。 植物は、不利な環境条件下では安全な場所に移動することができないため、柔軟な代謝を行い、多くの場合、代替的な代謝経路を見せる。 本章では、植物における貯蔵型糖質の代謝を中心に解説する
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